生命保険業界の向かう先

 某大手生命保険会社の不祥事が相次いでいます。「19億円詐取」なんてとんでもない事故(というより犯罪)が起きたのもつかの間、他にも続々と出てきています。金額の大小含めたら、まだまだ出てくると思いますよ。

 今日は、そんな生命保険業界の闇についてお伝えしたいと思います。僕の感覚も含めて書いていますので、実際はもっとひどいかもしれないです。

要旨

 金銭の詐取などの不祥事が続いている生命保険業界ですが、ほんの少しの悪い奴らのせいで、まともにやっている人たちが割を食っています。ますますキツくなる一方で、回り回って1社専属の営業部隊は、縮小あるいは解体していくのではないかと推察します。その理由を書いてみました。

今どき、現金のやり取りなんてない

 つい先日もまた、「2人で5,000万円詐取」とニュースに出ていましたが、このご時世にいったいどうやっているんだろうかと不思議な気分になります。だって、昔のように現金を受け取って領収書を書いて渡すなんて、今どきどこの金融機関でもやっていませんからね。銀行振込にしても、振込先が会社名でなく個人名であれば、「あれ?」と思うはずですよ。

 持論ですが、こういう事件は田舎ほど起こっている気がしますね。それだけ、近い関係ということでしょうかね。都会ではまず起こらないと思います。人間関係が希薄ですから。田舎では隣近所の家族構成やら勤め先(はたまは退職金の額!)まで筒抜けになっているのは日常茶飯事です。都会では、隣の部屋に住んでいる人がどこの誰でなんてわからないのに・・・。

巧妙な手口

 中にはとっても悪い奴もいて、保険証券を偽造しちゃうパターンです。れっきとした犯罪行為なんですけど、やっちゃうんですよね~。しかも常習で、数年に渡って繰り返しているんですよね。

 悪いのはもちろん騙す側なんですけど、騙される側も気がつかないんでしょうね。完全に信じ切っている状態です。ある意味、教祖と信者の関係に似ていますよね。

不祥事の代償

 典型的なモラルハザードの一種ですけど、みんながやっているわけではありません。大抵の営業マンは会社の言うことを聞いています(昔はどうだったかは別の話ですが)。

 悪いのはごく一部の人間なんですが、真面目にやっている方にも疑いの目で見られるようになるんです。それが保険会社です。どんどん締め付けが厳しくなって、現場はやりづらいと思います。実際僕も働いていて、「会社にまったく信用されていないだな~」と感じたことが多々ありますからね。

保険セールスの雇用形態

 保険会社の営業マンの立場って、世間一般からするとちょっと理解しづらいところがあるんですよ。というのは、従業員なんだけれど、実態は成績連動型の個人事業主の色合いがとても強いからなんです。

 そこの会社の看板(名刺)を借りていると言った方がわかりやすいですかね?普通の会社員の人なら、こういう感覚にはならないと思いますよ。

 一方で保険会社からすると、不祥事が起こってしまうと看板が傷つくことになるんですよね。報道のされ方を見ていれば、個人名よりも会社名が先に来ますからね。それは一番避けたいことだと思いますよ。

直販営業部隊の解体

 じゃあどうすれば良いのか?それは、販売部門(営業部門)を縮小あるいは切り離ししてしまえば良いのです。会社にとってのリスクはなくなりますから。そんなこと労働組合が許すわけない?いやいや、保険会社の労働組合なんて無きに等しい存在ですよ。

 代わりに売るのは、「販売代理店」(複数の保険会社を取り扱う「乗り合い代理店」とも言われます)です。要は、販売は委託することで、先のような不祥事が仮に起こったとしても、そこの代理店のせいにすれば保険会社にとばっちりはやって来ないという理屈なんですね。実際、営業の管理は販売代理店がやっているわけですから、保険会社はあずかり知らぬことですからね。

 別の観点からいうと、人を雇うということは社会保険やら何やらの人件費が発生しますよね。それが、全国に何千・何万といるわけですよ。それはもう保険会社からしたら、すごいコストなんですよね。そのくせ、会社の看板に泥をかけられたのではたまったものではありません。要は、コストパフォーマンスが良くないんですよ。だから、販売は代理店にまかせて、会社は新商品の開発と給付手続きなどの保全フォローに注力するという棲み分けができてくるんです。

 かくして、不祥事が起こる度に、1社専属の直販営業部隊は締め付けが厳しくなり、結果として縮小の一途を辿るようになるのです。


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